ライター西廣氏による
ライブレポート
2023年12月3日(日)夜公演
11月3日から始まった乃木坂46五期生、櫻坂46三期生、日向坂46四期生によるロングラン公演「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」も、乃木坂46五期生による12月3日夜公演でついに大千穐楽を迎える。五期生にとっても全10公演におよんだ初めての挑戦の、締めくくりとなる重要なステージだ。その最終公演の「五期生 おひとりさま天国」コーナーでは、五百城茉央と中西アルノがそれぞれの個性が存分に反映された、見応えのあるパフォーマンスを披露した。
最初にステージに立ったのは五百城。純白のドレスを着用した彼女は、〈想像してみた 10年後の自分 どこにいるのだろう? 何しているのだろう?〉とある楽曲の歌詞を朗読し始める。それは、12thシングル「太陽ノック」のカップリリング曲「羽根の記憶」の一節だった。当時の一、二期生が10年後の将来を見据えながら「可能性は無限大だ」と現実を再認識するという内容のこの曲を、グループでもっとも若い五期生が歌い継ぐことで、ここからさらに10年先へとつないでいく……そんな思いが感じ取れたのではないだろうか。
アカペラを経て本編に突入すると、儚さと素直さがにじみ出た歌声も、曲が進むにつれてどんどんと力強さを増していく。その伸びやかな歌声からは、この2年の成長を存分に伝わってきた。
五百城らしいまっすぐな歌に続いては、赤いドレスを身にまとった中西が登場。「乃木坂46の一番最初のオーディション用紙に、特技を書く欄がありました。私には本当に何もなくて、何も誇れるものもなかったんですけど、すごく悩んで、昔少し習っていたドラムを特技の欄に書きました」と観客に告げると、彼女の後ろには立派なドラムセットが用意される。続けて、「今から披露する楽曲を初めて見たとき、センターの方に圧倒されたことをよく覚えています。この楽曲の強さに負けないように頑張ります」と口にすると、激しいドラムソロに続いて、「マシンガンレイン」を用意したトラックに合わせてプレイし始めた。
28thシングル「君に叱られた」のアンダー楽曲として制作された「マシンガンレイン」は、当時卒業を控えた二期生・寺田蘭世のセンター曲であると同時に、初めて四期生がアンダーメンバー入りしたターニングポイント的1曲でもある。その楽曲を、卒業したメンバーや直属の先輩たちの思いを受け止めつつ、自身ができる最良の方法で表現してみせる中西の姿に、客席からは盛大な拍手が送られた。
2人の楽曲披露が終了すると、それぞれ曲に込めた思いやパフォーマンスの感想を口にしていく。中西は瞳を潤ませながら、「ドラムは中学3年か高校1年くらいから2、3年やっていたんですけど、ちょうどあまり学校に行けなくなっちゃった時期と重なっていて。でも、このドラムのレッスンだけにはちゃんと行けていたんです。たぶんドラムを叩いているところを見たら、家族が一番喜ぶんじゃないかと思います」と心境を吐露。一方、五百城は「この曲を選んだ理由は歌詞を届けたいなと思ったから。最初にナレーションを入れてみたりと工夫もしましたが、聴いた人が将来に希望を持ってほしいなというのと、自分でも自信を持ちたいなという暗示を込めたのもあって。あと、もうひとつ。歌詞の中に10年後って出てくるじゃない? 10年後もみんなのやりたい夢が叶って、みんな幸せであってほしいなと思うのと……10年後もごはんに行こうね(笑)。これからもよろしく!」と笑顔で伝え、全10公演にわたる初の試み「五期生 おひとりさま天国」企画の幕を下ろした。