「蝉の声が聞こえた気がした。
ーまだ夏は終わっていなかったんだ。」
ラジオの音が聞こえる。
昭和の笑い声が耳元でした。
流れるコマーシャルと
それを黙らせるように鳴る騒音。
色褪せない歌謡曲に目を閉じる。
シートベルトをした。
窓の外を覗く。
いつもと変わらない風景に目を閉じる。
タクシーを降りた。
走る。
タクシーで来た道を走る。
逆走する。
何かの群れを掻き分けながら、懸命に。
計り知れない未来に胸が踊る。
心が震える。
北風が私を引き留めようとする。
そよ風が私の頬を撫でる。
冷たい。
あたたかい。
頭が、温まる。
混ざる。
軽くなっていく。
駅に着いた。
電車には、乗らない。
もっと先まで走ってみる。
見たことのない景色が見たい。
何も考えずにただ走る。
世界が動きを止めたようだ。
息を、止めたようだった。
空が、見えた。
きれいなだいだい色の空だった。
泣きそうになった。
思い切り泣きたかった。
声に出して泣きたかった。
けど、泣けない。
まだ自分が自分を抑えていたんだ。
携帯を掲げる。
写真が撮りたい。
誰に見せる予定はない。
カメラを起動する。
画面が暗い。
点かない。
動かない。
目をこする。
再起動してみる。
何も変わらない。
ずっと、暗い。
黒の中に自分が映る。
自分の瞳に黒が反射する。
まぶしい。
不思議。
無限の黒が美しい。
夢幻の空に包まれる。
怖くなって顔を上げる。
周りには誰もいなくなっていた。
不安になる。
自分にしか見えない景色を見ている気がする。
この景色は自分にしか見えていない気がする。
不意に孤独が胸を突いた。
空しさに苛まれる。
帰りたい。
帰りたくない。
切りとる。
一生懸命に風を掴む。
空を掴む。
その正体は、
自分にしか見えていない気がしてたんだ。
どこまでがリアルかわからないこの世界。
どこまでを信じるのか。
カメラは壊れていなかったのかもしれない。
現実と非現実の線引きが曖昧だからこそ、
この世界は輝き続けるのかもしれない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前髪を分けてみましたー☺︎
個握ありがとうございました!
楽しかったです〜☺︎
本当にありがとうございます!!
以上、
アメリカ生まれ
高校3年生の
北川悠理でした〜◎
まる。
とってもありがとうございました☺︎